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Update:09/06/08
Text&photo:Kentaro Kawamura
Tytle:Hucho Perryi in the spring which deepens

この時期は湿原の淡水河川でイトウを狙うことが多く、この日はこの春何度目かの挑戦だった。
日の出が3時となる夏至前後のこのひと月は、夜明け前に川へ到着するために2時起きとなる。
この時期に決まって立つポイントへ到着するが、案の定人影はなく、ひとりウェーダーを履きウェーディングブーツを装着する。
ウグイス、カッコウ、ヒバリ、シギなどの春に宗谷へ訪れる鳥たちの声を聞きながらロッドを握り歩き出す。
間もなくして川岸にたどり着くと風はフォロー。 さざ波立っているがさほど気になるほどではなかった。

キャスティング開始。 今日はこれ一本でと思い入れるミノーで1時間キャストを繰り返すも一切反応がない。
大物が出るときは必ずこのようなシチュエーションなのだが、、、と言い聞かせてキャストする。
これで風が止みさざ波がなくなれば、、、 その思いが叶った瞬間だった。

かけ上がりからピックアップ寸前のミノーが、大きな口に吸い込まれるのが見えた。
かけ上がりではピックアップを慎重にしているため、十分にバイトされフッキングも完璧。 綺麗な体側の71cmだった。

風がないままのコンディションで次のキャストへ移行する。
4時を過ぎしばらくすると、川の中ほどまでリトリーブしたルアーにイトウが襲いかかった。
バイト時に肝心なのはセットフックをどれだけ完璧にできるかである。
2度ロッドを合わせセットフックを試みると、イトウは水面から思いきり飛び出したのだ。 水面から1mほどはジャンプし、滑り込むように水中へ潜り込んだ。
それから40mほど対岸の下流方向へラインを出される。 ラインが鳴くほどの強引なランを浴びた。
ほどなくして走りは止まり、こちらに分が傾きだしジリジリとリールにラインを戻す。 ロッドは弧を描いたままウェイトを感じていた。

手元に引き寄せたイトウは96cm。 この時期としては丸々としたプロポーションで重く、ヒレが完璧で体は綺麗な紫銀色であった。
下あごは盛り上がり精悍な顔つきで、このサイズだと脂びれが親指ほどにもなる。
時間をかけ回復を見守り、慎重にリリースを施すと、ゆっくりと川底へ消えていった。


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